ある有名なデザイナーが子どもの頃の事を話していました。彼には姉妹が2人いていつも彼女たちといっしょに人形遊びをしていたそうです。そして人形の服も作っていたそうです。その頃の遊びが今の仕事につながっていったと言っていました。
私も確か子どもの頃はそうだったような、、、。
アメリカの人気テレビ番組で10人くらいのチャレンジャーが幾つもの課題をこなし、一つの課題ごとに成績の悪い2−3人が排除(eliminate)されて行って、最後に残った一人が優勝者になると言う番組がありました。いろんな分野で毎週競いあっていましたが、その中で服飾デザイナーたちが競うものがありました。
まず、デザインを描き、布を自分で買いに行って服を作り始めます。彼らはボディ(人体)に布を巻きつけ、針でボディに貼り付け、要らないところはハサミで切り取り、ギャザーやフリルなども針でとめながら作って、仮縫いをしていきました。
私は家庭科の授業で何か簡単な服を作った記憶があります。学生時代の夏休みには洋裁を習ったこともありますが、いつもまず型紙を描いて、布を机いっぱいに広げ型紙どおりに裁断し、縫って行きました。すべて平面上で作業しました。型紙の肩や首の曲線は自分では描けない理解できないものでしたが、それは服を作る上で正当なやり方だと思っていました。
しかし、デザイナーの人たちがやっている方法はそれとは全く違って、まさしく私の人形の服作りとそっくりだったのです。立体裁断というものだと思うのですが。
つまり私は小さい頃からプロのデザイナーさんたちがしているような(人形のですが)服作りをしていたのでした。自分ではそんな感覚はなく、これまでデザイナーとは全く正反対な世界で生きてきました。もうだいぶ長い間生きて来たので、いまさらデザイナーを目指す気などまったくないし、生まれ変わっても他にやりたいことがあるのでなりたいとは思いませんが、私の人生の選択肢にあってもおかしくなかったかもしれないと気がつきました。
私がここで言いたいのは人形作りをしている人って、デザイナーとしての感覚を磨いているのではないかなって思います。そんな人はデザイナーになるという選択肢もあるはずだと思います。